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Gear & Tech

昨日、私はまったく別のギタープレイヤーになりました。何も新たなことを学んだわけではなかったのですが。それではどのようにして?簡単です…カポに手を伸ばしたのです。

過去数年の間、カポを使用したことはありました。しかし、今はそれほど使っていません。ですが、同じことの繰り返しや同じコードを弾くことに辟易し、不得手なバレーコードのフォームで押さえることなく、カポを使ってC#のキーでプレイする喜びに至りました。

信じられないって? では証明してみせましょう。皆様のギター演奏を新たな展開に導くためにカポは有効だと考えられる5つの理由があります。

 

 

カポは偉大なるずる賢いやり方です!

これはカポを使うための主な理由であるはずはありません。しかし、本当に役立つツールなのです。C#のような通常は不慣れなキーで書かれた曲が即座に比較的にイージーな曲になります。カポを4フレット(もしくは8フレット、もしマンドリン的な演奏であれば)に取り付けて、さあやってみましょう。どんな困ったヒトがC#のキーで作曲したかって? ピアニストの仕業ですか?

より基本的な話として、皆様のバンドにはシンガーがいて(もしくは皆様自身がシンガーである場合もあり)、そのシンガーの声域が伝統的なギターのキーと必ずしも合うとは限りません。カポを使えば、そのキーの変更と調整を即座に行えるのです。それも皆様のギターやヴォーカリストにストレスをあたえること無く。

もちろん、カポを使うことを、バレーコードを習得しないことの言い訳にしてはいけません。しかし、ひとたび、皆様が基礎的なコードのヴォキャブラリーを習得すれば、カポを使って同じ押さえ方で新しいキーで奏でるというやり方は間違っていません。便利なツールなのです。使ったもん勝ちです!

また、皆様が頻繁にもしくは稀にでも、他のバンドに飛び入りしたり、いつもはいっしょに演奏していないシンガーの伴奏を頼まれたりする場合、カポは必需品です。おそらく、2本目のギターやエフェクトボード以上に重宝します。間違いないです。

 

カポは開放弦での演奏に最適です。

オープンコード(開放弦を使用したコード)はよく響きますよね?まあ、仮にベターではないにしろ、事実、より鈴鳴りがします。伝統的ではないギターのチューニングでオープンコードを弾きつづける際にもカポは必需品です。3フレットにカポをセットしましょう。Gの押さえ方でのBbやCの押さえ方でのEbがかつてないほどによく響きわたります。

 

カポは優秀な作曲ツールでもあります。

もし皆様が私と同じ傾向の方でしたら、きっとあるキーでのリフやコード進行の創造に興味がおありでしょう。しかし、それらは実際は、特定のキーということではなく形式や型のようなものですよね。カポを使うことで、たいていの使い古されたコード進行を、単純にルート音を変えるだけでちょっと違った新しい響きに変えることができるのです。前述のように、そうすることで、ギター以外の楽器を演奏するバンドメンバー達とキーを合わせたり、共同で作曲したりできるようになるのです。

 

カポを使うと、2本のギターでのバンドサウンドが向上します。

もし皆様がツインギターのバンドに属している場合、おそらく皆様とその相方の方の機材やギターのトーンの違いについて、かなりの時間を費やして試行錯誤していることでしょう。そのこと自体は問題なしです。しかし、もし二人とも同じネックポジションで演奏する場合は、周波数の影響で、必然的に出音自体が純粋に同質のものとなります。そこで一方のギタリストがカポを用いると、ギターのトーンの違いをひき立たせることができ、たいていは、より豊かでより多層的な調性を2本のギターにもたらすことになります。これは本当にお勧めです。以下でご紹介されている楽曲をみても明らかです。

 

カポは使い古されたコードに新たな息吹を吹きこみます。

これは既に今まで述べた内容と重複してしまいます。正しくは、なぜ、私は自分の演奏に飽き飽きしてしまっているのでしょうか?事実、私達は、もっとも基礎的なコードがどんなにか平坦に等しく均等に響くのか、ということに馴れてしまっていますし、その伝統的なヴォイシングにも馴れてしまっているのです。オープンEのコードを弾いてみてください。慣れ親しんだサウンドだって分かりますよね。おそらく同様に、4フレットポジションでDの押さえ方でEを弾くことができます。しかし、7フレットのカポでAの押さえ方でEを弾いてみてください。どうですか?完全に新たな世界でしょう?たとえ、弾いているコードの度数はいっしょでも。これも前述したポイントですね。本当にカポを使うとこういったベネフィットがあるので、伝統的なコードの押さえ方ばかりで罪深く感じてしまっているプレイヤーがいたらその考えはやめていただきたいのです。カポを使えば、同じ押さえ方でも響きが変わるのですから。

 

カポが使われた楽曲達

今まで申し上げてきたことは、実際の楽曲や作曲のなかでこそ意味を成してきます。そこが重要なところです。今まで、数え切れないほどの偉大なギタリスト達がキャリアを通してカポを巧みに活用してきました。ポール・サイモンは、アート・ガーファンクルの類稀なヴォイスに彼の楽曲を馴染ませたり、ベーシックなパターンに新たな息吹を加えるためにカポを使ってきました。“The Sound of Silence”や “Scarborough Fair”を聴いてみてください。ビートルズも彼らのアコースティックギター演奏による不朽の大定番作品においてカポを使ってきました。“Norwegian Wood”や“Here Comes the Sun”がその代表例ですね。

The Smithsにおいても、ジョニー・マーは同様に、モリッシーのヴォイスに馴染ませるためにカポを使ってきましたが、時には、ギターのオーヴァーダブ時やパターンに鐘鳴りを付け加えるためにも使用してきました。“Hotel California”においてイーグルスのドン・フェルダーは、ドン・ヘンリーのヴォイスに馴染ませるために、もともとのキー(E minor)を下げました。最終的には、フェルダーは7フレットにカポを装着して、B minorのキーで録音しました。2本目のギターは5フレットにカポがセットされ、2本のギターが同じコードを違ったヴォシングでプレイしている中でコントラストをつける恰好になりました。Oasisの“Wonderwall”では、ノエル・ギャラガーが、馴染みの薄いキーで最大限の開放弦の響きを得るためにカポを使いました。

カポは本当にすべてを変える力があるのです。Taylor Swiftの“Out of The Woods”のRyan Adamsによるカヴァーはその一例です。6フレットにカポをセットしマンドリン風の鐘の音をコードに付け加えているのです。アダムスによるアコースティックヴァージョンのアレンジは楽曲を作り変えています。カポは、はっとするような楽曲の再解釈を可能にしているのです。

 

リストが必要ですか?もう既にご存知のはずです!

以下はカポが使われた名曲のリストです。プレイヤーによる確認やギタリストの知恵に基づいています。ライヴヴァージョンは異なる可能性があります。もし違った見解をおもちの方がいらっしゃいましたら、どうぞカットしてくださいね。よろしいでしょうか?オーケイですね!


The Beatles
 “Here Comes the Sun” (capo at 7);“Long Long Long” (capo at 3); “If I Needed Someone” (capo at 7); “Norwegian Wood (This Bird Has Flown)” (capo at 2).

Simon and Garfunkel “Scarborough Fair” (capo at 7); “Mrs. Robinson” (capo at 3); “The Sound Of Silence” (capo at 6); “I Am A Rock” (capo at 5); “Homeward Bound” (capo at 3).

Bob Dylan “Blowing in the Wind” (capo at 7); “Don't Think Twice (It's Alright)” (capo at 4).

Bruce Springsteen “Atlantic City” (capo at 2);“Independence Day” (capo at 3).

Oasis “Wonderwall” (capo at 2).

Jethro Tull “Aqualung” (capo at 3).

Fleetwood Mac “Landslide” (capo at 3).

The Smiths “Bigmouth Strikes Again” (capo at 4); numerous other Smiths songs feature a capo at 2.

Eagles “Hotel California” (capo at 7 for one guitar, capo at 5 for other).

The Stone Roses “Made of Stone” (capo at 2), “Waterfall” (capo at 4). Many others Roses songs use a capo.

James Taylor “Fire and Rain” (capo at 3).

Tom Petty “Free Fallin’” (one guitar capo at 1, other guitar capo at 3).

Green Day “Boulevard of Broken Dreams” (capo at 1). There are many songs with a capo “only” at the 1st fret. Unless you’ve got a G FORCE tuning Gibson, using a capo may be just a bit easier than tuning up a semitone.

Led Zeppelin “Bron-Y-Aur-Stomp (open D tuning with a capo at 3).

The Rolling Stones “Tumbling Dice” (open G tuning with capo at 3).

 

 

カポを使用することとチューニングやテンション感における効用について、いくつか注意点があります。また、どんなタイプのカポを購入するのか、ということも重要になってきます。但し、これらの問題はまた次回でのテーマといたしましょう。もし、カポを使用しようというもともとの理由に問題がない場合、それはもとを正せばカポは使えるツールだから、といえるのです。ひとつ手に入れてみてください。きっと後悔はしませんよ。早速、私はBbのキーで非常に簡単なものに取り組み始めています。