Gibson.comの新シリーズでは、ギブソンギターをプレイしてきた偉人達の作品について掘り下げています。今回は正真正銘のレジェンド、B.B. Kingを取り上げます。
もし皆様の中に、B.B. Kingの音楽は崇拝できないと思う方が居るとしたら、その方は余程音楽のパルスを感じられないのか、ギターが好きではないのかのどちらかでしょう。B.B. Kingはギター界の紛れもないスターなのですから。
B.B. Kingとは?
ずばり、キング・オブ・ザ・ブルーズです。まさに、ブルース界の最高位の人物として知られています。ギブソンプレーヤーであるAlbert KingやFreddie Kingと同様に、B.B.は、1950年代にシーンに出現した、いわゆるブルース界の“スリー・キングズ”の一角をなしていますが、トップに君臨していたのはB.B. Kingです。本名はRiley King。1925年生まれで、2015年に89歳でこの世を去っています。
キングは最初のギターを$15で購入しました。プランテーションでトラクターを運転し、働いて得たお金を貯めてのことです。メンフィス育ちのB.B.は、ギブソン・レジェンドとなるのにまたとない環境で育ちました。Riley少年は、当時、"Beale Street Blues Boy"というニックネームで呼ばれ、それが後に"Blues Boy"と短縮化され、最終的に“B.B.”と呼ばれるようになったのです。
彼が最初にT-Bone Walkerに出会った場所はメンフィスでした。T-Bone Walkerもまたエレクトリックギターの草分けのひとりです。かつてキングはこう回想していました。"T-Bone Walkerを初めて聴いた時、直ぐに分かったんだ。自分のエレクトリックギターを手に入れなくてはならないとね。とにかく何としても手に入れなくちゃならない、とね!"
シグニチャーサウンド
キングは偉大なるシンガーでもありソングライターでもありました。しかし、彼のギタープレイが崇拝されるようになるまでに時間は要しませんでした。キングのギターテクニックや演奏スタイルはユニークです。トレモロ奏法、装飾的な音符、ヴィブラートなど、即座にキングの演奏と分かる個性的なものです。B.B.は自己のサウンドについては多くを語っていません。彼は独学なので、“theory” つまり楽理を話したがらなかったようでした。
しかし、何も問題はないでしょう。B.Bは理論派ではないのです。彼の演奏はフィーリングとエモーションから来ているのです。B.B. Kingにかかれば、ギターを雄弁に語らせることはお手の物でした。ジョン・レノンがかつてこうコメントしています。“B.B. Kingのようにギターが弾けさえすればなぁ”
しかしそれでも、我々はキングから学ぶことはできるのです。いつプレイすべきで、いつプレイすべきでないのかというギター演奏における制御能力は、まったくもってお手本となるものですから。
B.B. Kingとギブソン
B.Bは1950年頃、ギブソンギターに首っ丈となりました。特に、1958年に発売開始したばかりのES-335の虜となりました。ES-335は彼のサウンドとなり、1980年にはB.B.のモデルである“Lucille”がリリースされ彼の偉業が称えられました。(どうして“Lucille”と呼ばれているのか詳細は、また別の機会にいたしましょう!)
Gibson Lucilleは現在も生産されています。実際は、ES-355が基となっています。6ウェイのヴァリトーン・スイッチが装備され幅広いトーンの選択が可能となっていますが、fホールは空けられていません。B.B.はかつて、当時使っていた初期のES-335のfホールにタオルを詰めフィードバックを起こさぬようにしていました。ルシールもES-335と変わらずセミ・ホロー構造です。筆者も以前にルシールをプレイしてみたことがありますが、今まで弾いたことのあるギターの中で最高の部類に入る素晴らしさでした。ギターとしての組上げ精度が高く、とびっきりの最高なトーンです。ああ、残念ですが、B.B. Kingのようには弾けないんですよね。ジョン・レノンもそう嘆いているくらいですから…
B.B. Kingは、かつてGuitar.comに彼のギブソンギターについてこう語ったことがありました。“こんな古い言い習わしがありますよね。'壊れていないのなら直すな' ですから、ルシール以外のギターを試してみる必要なんてあるのでしょうか?” B.B.はとことん控えめな方なのですね。
試聴必須の楽曲リスト
1965年リリースのLive At The Regalは、歴史上もっとも高く評価されたブルースアルバムの金字塔であり続けています。Eric Clapton, John MayerそしてMark Knopfler達は、彼らがライヴ演奏をするようになる前に、そのアルバムをバイブルとして研究してギターに取り組んでいたことを認めていました。彼らは、そのアルバムを自分で理解して消化しなければいけないと分かっていたのでしょう。
B.B. Kingとクラプトンのデュエットのアルバム、Riding With The Kingは秀逸です。なおかつ、洗練されています。ご存知のとおり、B.B. Kingに関するコンピレーション盤は多く存在します。彼は60 作以上のアルバムをリリースしているのです! もし、1曲だけ代表曲を挙げてといわれれば、それは“The Thrill Is Gone”ではないでしょうか!
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Photo Credit: Gary Miller Photography