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ジミー・ペイジとレス・ポール、ラリー・カールトンとES-335、アンガス・ヤングとSGなど、ギタリストにとってギターとは、自らのアイデンティティと言っても過言ではありません。ワンフレーズ聴けば、その人だと認識できるオリジナリティを持つギタリストほど、その傾向が顕著で、それはプレイスタイル、サウンド、楽曲のいずれにおいても独自の世界観を築くという強い意志により、音楽性を高める楽器を選択しているように見えます。

既出の音楽や演奏をなぞる行為に背を向けて、自らの音楽とプレイに対してアイディア溢れるアプローチを続けていることが、生形真一というギタリストとNothing's Carved In Stoneというバンドが、音楽ファンはもとより、業界内でも高く評価されている大きな理由と考えられます。ミュージシャンとは、地道な探求、訓練、挑戦を続けて、時間をかけて自らのスタイルを構築していきますが、その道程で、どのような楽器と出会い、何を選ぶのかによって結果が大きく変わることになります。これはプロもアマチュアも同じです。

生形氏とES-335の邂逅は、およそ20年前のELLEGARDENの活動開始期であり、当時はジャズ、クロスオーバー、フュージョンといったイメージが強かったES-335を、パンキッシュなアプローチのバンドでメインとしていた数少ないギタリストの一人でした。その理由を本人は「同世代で誰も使っていなかったから」とコメントしています。ということは、すでに独自のスタイルとサウンドを意識していたわけで、ES-335を選んだことが生形スタイルの発端であったと言えます。セミ・アコースティック・ギターの弾き方と、サウンド・メイキングの奥深さを意識し、その難しさを面白さと感じられるようになるまでモチベーションを維持できることも才能と言えます。楽曲に対するギターのアプローチを、多彩かつオリジナルにするために、ES-335とともに試行錯誤を続けることで生まれたのが、生形スタイルの原型であり、そのスタイルが覚醒するきっかけとなったのがES-355とNothing's Carved In Stoneです。

 

 

それまでのメインであったES-335とシグネチャ・モデルのベースとなったES-355のルックス以外で異なるのが、指板材と335には搭載されていなかった、ビグスビー・トレモロ&グローバー・チューナーです。本来は機能性パーツでありながら、これら質量のあるハードウェアがトーンにも影響して、独特のサウンドになるのが楽器の面白さです。本人は「歪が少しざらつく、どこか鉄の音が混じっている」とコメントしていますが、確かにビグスビー&グローバーとロック・ギターの相性の良さは、よく知られるところです。どちらのパーツも弦に直接触れて、弦振動をネックとボディに伝える部分ですので、金属的な響きが入り、そのトーンが歪ませたサウンドにすることで増幅されて際立ち、独特の鳴りを生むと言われています。さらに加えればESのニュアンスを残しつつも、ブライトかつタイトなトーンと、入力に対するレスポンスの速さが、本人が目指していたプレイスタイルとサウンドの道標になったと思われます。そこに多彩なエフェクトワーク、キャラクターの異なるアンプの使い分けなど、ハイセンスなサウンド・セッティングが加味されて確立されたのが現在の生形サウンドです。それはアマチュア、プロを問わず、生形真一を目指す多くのフォロワーを生み、次世代に音楽をつなげる影響力を持つことが条件の一つである、ギブソン・シグネチャ・アーティストとして認められることになりました。

 

 

生形氏のスタンスとして一貫しているのは、ネガティブな発言をしないということ。バンドのことから、ミュージック・ビジネスの変化といった時代の潮流まで、その時に自身が置かれた環境で、考えるべきこと、行動すべきことを冷静に判断し、未来志向の発想で物事をとらえることで、ミュージシャンとしてもクリエイターとしても、まわりをリードする役割を担っています。

ELLEGARDENの活動停止から10年ぶりの復活、10周年を迎え初の武道館公演を行うNothing's Carved In Stone、シグネチャ・モデルのリリースなど、常にポジティブなサプライズで日本のロックシーンを沸かせていますが、それらの実現には生形氏の音楽、楽器、そして人に対する真摯な姿勢が大きく影響していると言えます。

プロダクトリンク:https://archive.gibson.jp/electric-guitars/1367

 

Nothing's Carved In Stone

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Nothing's Carved In Stone official website: http://www.ncis.jp